英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)日本特別代表部

The Office of Distinguished Fellow, Japan Royal United Services Institute for Defence and Security Studies, UK

RUSIは2012年、180年以上の歴史を持つ英国王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute for Defence and Security Studies: RUSI)のアジア拠点としてRUSI Japanを東京に開設しました。RUSI Japanは以来、日本と英国の安全保障関係を単なるパートナーの段階から同盟の段階へと引き上げるため、両国の安全保障コミュティーの関係強化に取り組んできました。その一環として、2013年10月、日本で初めて日英安全保障会議を開催し、2016年11月、2019年11月にも東京で日英安全保障会議を開催しました。また、それと並行して2015年11月、東京五輪に向けたテロ対策の専門家会議を開催し、テロ対策では世界で最も豊富な経験をもつ英国の知見を日本国内に発信しました。このようにRUSI Japanは東京とロンドンで定期的に会議を開催して両国の専門家同士が意見を交換する場を提供してきました。また、日英関係にかかわらず、ウクライナ戦争など重要な国際安全保障問題についても独自の情報や分析をメディアなどを通じて発信しています。

RUSIは日英の安全保障関係を強化し、インド太平洋地域の安定に貢献することを目指しています。RUSI Japanは2019年、それまでの地域本部から日本特別代表部に格上げされた後、2023年8月、日本特別代表を務めていた秋元千明がRUSIでは最高位のDistinguished Fellow (特別栄誉フェロー)に就任しました。Distinguished Fellowは英国の戦略コミュニティーのなかで特に顕著な活動をした専門家にのみ与えられる名誉ある地位・称号として知られています。

日本特別代表
秋元千明 Dr Chiaki Akimoto

早稲田大学卒業後、NHK 入局。30年以上にわたり、軍事・安全保障専門の国際記者、解説委員を務める。東西軍備管理問題、湾岸戦争、ユーゴスラビア紛争、北朝鮮核問題、同時多発テロ、イラク戦争など、豊富な取材経験を持つ。一方、RUSIでは1992年に客員研究員として在籍した後、2009年、日本人として初めてアソシエイト・フェローに指名された。2012年、RUSI Japan の設立に伴い、NHKを退職、所長に就任。2019年にRUSI日本特別代表、2023年にはRUSIでは最高位のDistinguished Fellow(特別栄誉フェロー)に就任した。日英の安全保障コミュニティーに幅広い人脈があり、両国の専門家に交流の場を提供している。


著書に「戦略の地政学—ランドパワー vs シーパワー」(ウェッジ出版・2017)、「復活!日英同盟 ~インド太平洋時代の幕開け~」(CCCメディアハウス・2021)、「最新 戦略の地政学―専制主義 VS 民主主義」(ウェッジ出版・2022)等。

RUSI日本特別代表部 アドバイザリーグループ

議長:サー・ジョン・スカーレット 元英国秘密情報局<MI6>長官 Sir John Scarlett

1948年生まれ。オックスフォード大学卒業後、英国秘密情報局(MI6)に入局。冷戦下の1970年代から80年代、最前線のモスクワに駐在し、旧ソビエトKGB幹部の英国への亡命作戦など、数多くの情報作戦の指揮を執ったことで知られる。当時の活躍により亡命者の一人から「西側最強のスパイ」と評された。その後、英国政府の情報機関を統轄する合同情報委員会(JIC)のトップを経て、2004年から2009年までMI6長官。

副議長:西 正典元防衛事務次官 Mr Masanori Nishi

1954年生まれ。1978年東京大学法学部卒業後、防衛庁に入庁。長官官房秘書課長、那覇防衛施設局長、外務省大臣官房審議官等を歴任した後、防衛政策局長等を経て2013年より防衛事務次官を務める。2015年10月退官。この間、オックスフォード大学(トリニティ・カレッジ)に留学し、軍事史研究の世界的権威、マイケル・ハワードに師事。米国のみならず英国の安全保障コミュニティに幅広いネットワークを持つ。

ジェレミー・ブラック エクセター大学歴史学教授 Prof Jeremy Black

1955年生まれ。ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジ卒業後、オックスフォード大学で博士号取得。現在、エクセター大学の歴史学教授。専門は軍事史、戦略論、国際関係史。欧州を代表する歴史家であり、特に地政学と歴史学の視点から、現代の国際情勢を読み解く分析力に定評があり、英国の軍事・外交政策に対して強い影響力を持つ。100冊以上の著作があり、邦訳された著書に『海軍の世界史―海軍力にみる国家制度と文化』(福村出版, 2014年)などがある。

マイケル・クラーク RUSI特別名誉フェロー(前所長)  Prof Michael ClarKe

1990 年軍事・安全保障研究の名⾨キングズ・カレッジ・ロンドンの国防研究センターの初代所長に就任。1995年から同⼤教授。2007年に民間人として 初めてRUSI London所長に就任し、情報機関との連携強化やRUSI Japanの創設などRUSIの国際化に尽力した。2015年に所⾧を退任し、キングズ・カレッジ、エクセター大学等で教鞭をとる傍ら、RUSIのDistinguished Fellowも兼務する。英国政府・議会の助言役としても活躍しており、英国議会の安全保障委員会、国防委員会の特別顧問を務める。